お祈りの手引書

 

 祈りは幸せの源泉

 
創造主に願いを託すことで、人はストレスや緊張から解放されます。
祈りのない日々は、不安の日々の始まりです。

 

祈りが人にもたらす感情への影響は、わたしたちの人生において極めて重要であると言えます。祈りはストレスを取り除き、心のやすらぎをもたらし、人の才能を開花させます。全米国際ヘルス協会は、祈りと健康の因果関係に関する研究の資金援助を行っており、祈りが健康にとってどのような効果をもたらすかについての多くの科学的研究が行われています。ここで、簡単に祈りがもたらす精神面での効果というのを見てみましょう。

■ストレスからの解放:心の不安やストレスの最も大きな原因は祈りから遠ざかっていることであり、不安を取り除くには祈りが一番の効果的な方法です。ニューヨークの精神医学協会とコロンビア・プレスピテリアン医学センターは、様々な国の出身者からなる4万人の被験者を集め、うつ病の研究を行ったところ、1950年以後生まれの世代における最大の病気はうつ病であり、年代を追うごとに患者は増加しています。2 トルコの日刊紙ヒュッリイェット新聞は、前述の研究結果によって導き出されたうつ病の原因を次のように挙げています。

・ 神への信仰心の減少
 死後の世界の存在を信じる気持ちの消滅
 女性がいやおうなく定められた「美」の概念に自らを当てはめようと感じる
 結婚生活における不和
 身体に悪いものを日々口にする生活

これらの原因は互いに関連しあっています。宇宙の所有者を信じていなければ、あるいは、信じていても信頼していなければ死後の世界を信じられない、もしくは死後の世界に恐怖を感じるでしょう。この世の続きがないとすれば、この世の価値などなきに等しい。この世に続く世界が恐怖心を抱かせるようなものだとすれば、世界は恐怖に次ぐ恐怖に違いありません。すると人は忘れようとし、未来を夢見ることはなくなります。

うつ病とは、この地球上で愛にはぐれることです。心の支えが得られず、不安で、不明瞭な世界で生きるということです。祈りは、こういった心の不安に対する最も効果的な薬です。祈りを通じて宇宙の所有者に到達することができます。創造主に祈り続けることで、無意識に心の中でのその存在は膨れ上がっていきます。存在が膨れ上がればより創造主をよく知ることになり、知れば知るほど、愛するようになります。愛するようになればなるほど、より心が鍛えられ、鍛えられるほどに信頼感が増すのです。この地球上で、宇宙の無限の所有者を信じる者以上に、安心感を得られる者はいません。

祈りによって得られる友情と信頼は、「恵み深いスルタン」の友人たちの友情へとあなたを導いてくれます。たった一人の親友を得ることで、何千何百という親友を得ることができるのです。蝶も花も、今までとは違う形で愛するようになります。そして、死を恐れなくなります。というのも、現世をこれだけ素晴らしいものとして創造されたのだから、あの世だって間違いなく興奮に満ちた世界に作りあげることができるに違いない、と感じるようになるからです。

永遠の世に旅立ったとき、神はあなたを暗闇でたった一人に置いてきぼりにしたり、孤独を感じさせたりしないと確信するでしょうし、現世で常に神のことを思い、神と共にあれば、あの世で神の前に出たとしても羞恥心を感じることはないと確信するでしょう。時に人は辛い思いをすることもありますが、真の意味での祈りを捧げている精神の持ち主は、決して打ちひしがれたり悲観的になってストレスに飲み込まれるようなことはありません。

この素晴らしい友情を構築することができないとき、あなたは孤独感や無防備感にさいなまれるでしょう。家族の愛情を得られなかった子供が家出をし、シンナー漬けの少年・少女たちと心を麻痺させている様をご存知のはずです。

離れ離れになった愛する人とあなたを再び出会わせるのは誰でしょう?未練を残して別れを告げた今の生を、別の星でもう一度蘇らせてくれるのは?暗闇の中でふせた目をもう一度光の中で開かせてくれるのは?創造主の愛から遠ざかる者は、道に迷い空虚さと孤独を感じ、生きることの興奮に見放されます。デューク病院で行われた研究では、「創造主に愛されていないと思っている患者が」2年以内に死ぬ確率は、他の人のそれより28%も高いということがわかっています。4

■心のやすらぎを養うこと:祈りは宇宙の所有者と創造されたものを愛する道です。創造主から差し出された数々の贈り物を、日々味わいながらわたしたちは生きています。宇宙を次のような気持ちで眺めます。「創造されたものは全てアッラーの家族全員のもの。アッラーを最も愛する者こそが、アッラーの創造されたものにより最も利益を得る者である。」5

どんな生きものも精神面で最高の祈りを捧げたとき、天使たちと対話することができます。宇宙の全ての要素がそうであるように、あなたもまた善を行う努力をし、宇宙におけるいくつかの命令を実行するという重要な任務を与えられたことを理解するでしょう。そのとき光は輝きを変え、大小様々な物事はあなたに眩しく感じられます。最後の預言者(彼の上に平安がありますように)も言うとおり、「善を教える者は人間に、海に生きる魚に至るまで、全てのものに平安と善への願いを送り届ける。」

祈りの精神を認識し、その本質を理解した上で祈りを捧げなければならない。祈りが心に無限の情けの真実性と本物の愛をもたらさないとき、その祈りは効果があるとは言えません。私たち人間は、普通の人間たちとの間に生まれる友情によっても幸せを感じます。友人と分有した価値が増えるほどにその友人を好きになります。私たちのために自分を犠牲にすることすら厭わない友人、私たちを大切にしてくれる友人を得たときは、その人に対する価値は増し、親友を得たと実感します。だとすれば、宇宙の無限の所有者との友情を切り結ばない祈りとは、それは一体いかなる祈りでしょうか?

この世の友情には寿命があります。いつの日かあなたの友人はあなたを忘れてしまうかもしれません。どんなに強くとも、人には限界があります。どれほど努力しても、人は精神の空洞を埋めることはできないのです。時が来ればこの世の全ての人・物は私たちから離れていかざるをえないのです。

一方祈りは、不死の、忘却することのない、無限の力を持つ、尽きない恵みを持つ、自らを愛する者たちをより愛する「スルタン」との出会いを可能にしてくれます。祈りのおかげで宇宙の所有者のメッセージを読み解く才能は発達します。あなたの横を吹き去る風の語る言葉を理解できたなら、どう感じるでしょう?

祈りを捧げることで私たちが得るのは、創造主自らが私たちにもたらしたスイカや梨といった果実が持つ意味を理解することだけにとどまりません。空に集った雲たちが降雨の命令を待つそのとき、地上で心弾ませながら待ちわびる、乾ききった植物たちの声を聞いたような心地になるでしょう。沈む太陽が真っ赤に染まり、水平線とのおしゃべりをするのを理解できるようになります。そして、鳥たちのことばを、あなたはその心で理解するでしょう。

脚注;
1. 参照:ランドルフ・バイルド『冠状治療集中治療室(CCU)における祈りのセラピー的効果』サウス・メディカル・ジャーナル81号(1998)、826-829
2. ニューズウィーク誌は、2億7千万人の人口を要する合衆国では、2002年に2億人に抗うつ剤が処方されたと報告している。文明が人にもたらした精神的な苦痛のその深さときたら、計り知れません。
3. 「ヒュッリエット紙」1993年1月7日
4. 「内服薬月報」2001年8月 13/27;161:1881-1885
5. 「ハディース」4135章
6. 「ハディース」4136章

 

 

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