去年1年間の出来事を通して、私の子どもたちと関わるスタンスは大幅に変わったと思います。一番変わったのは「子育て」ではなく「子育ち」をしているというところでしょう。今までずっと一生懸命子育てをしてきました。でも、今は、子が育つのを支援するという立場に徹しています。私がかれらの人生の主人公にならないように、十分注意しています。彼らの人生の主人公は、彼ら自身であることを肝に明記しています。20年目からの子どもとの関わり方、接し方ではこのように、大幅な変化がありました。そのことについてみなさんにお話してみたいと思いました。子育て真っ最中のみなさんがフウと深呼吸してくださり、立ち止まって考えてくださる事ができますことを心から願っております。
その1
まずはじめに、アッラーを想い、アッラーとともにいる時を長くすること。私達がアッラーとともにいるとき、子どもと接する事ができれば、全てはうまくいきます。でも私達が思うようにいくと言う意味ではありません。たとえば、すぐに子どもたちが親たちや先生のいうことをきくとか、クルアーンを読めるようになるとか、あまたがよくなり学習力がUPするとかいう具体的な変化がおこるという事ではありません。でもこのような子どもと接する心構えができますと、確実に効果はあらわれてきます。
さて、私達、母親が思い違いしやすいことがあります。それは私達が子育てしているとおもっていることです。本当は、子どもは育つのです。少々らんぼうないいかたをすれば、私達が育てようが育てまいが育ちます。私達が子どもたちにしていることは実はほんのささいなことです。子どもが大きくなるにつれて、もしかしたら、こどもにいささかも影響を与えていないかもしれないと思う事がよくあります。私達は子育てをしようとするので、疲れ果ててしまい、ついにはイキツクコトモできないくらいです。
どうすればよいかよくわからなくなり、余裕もなくなってきて、私達からは次第に笑顔が失われていきます。しかし、実は関わり方の順番が少しかわれば、大変楽になるのです。関わり方の順番と言うのは、アッラーと子どもとそして私達のポジションのことです。親は直接子どもと関わるのではなく、アッラーを通して関わるのがベストであり、また、それは親子の最も自然な関わり方であるともいえます。私達がアッラーと共にいることで、私達と共にいる子どももアッラーとともにいる時間を過ごすことができます。その時間が長いほど、そういった空間が多いほど、子どもは自然に子ども本来のあり方を見出しやすくなります。そしていつしか自分自身だけでもアッラーと共にいる時間と空間を見出していきます。
ここで1つ注意することがあります。それは、決して私達が子どもに直接何かをしようとか、何かができるとか思ってはいけません。その時、そこ(私達の心)には、自我がむくむくと発生し始め、心は傲慢さにとりかこまれてしまうからです。そして私達は身動きがとれなくなり、アッラーの御望みになる子どもの姿を見失います。
そうです、簡単にできる子どもの接し方、その1は、アッラーを想い、アッラーとともにいる時を長くすることでした。さあみなさんお試しあれ。
その2
アッラーに見守られていると感じられる時を長くすること。私達がアッラーに見守られていると感じている時、子どもと接する事ができれば、全てはうまくいきます。私たちはアッラーに見守られていると感じる時は、私たちが本当に安心しているときです。私たちが安心感に取り囲まれていると、子どももほっとしています。子どもははじめのうち、安心できるのは母(親)にみられているからと考えますが、次第に、見守られているお方はアッラーであることに気づいていきます。そして、ついには母親の眼差しがなくても、真の安心を(アッラーから直接に)感じられるようになります。真の安心感を子供たちとともに味わいましょう。自然とほほ笑みが戻ってきますよ。
その3
アッラーが私達を守ってくださると感じられる時を長くすること。アッラーが私達を守ってくださると感じられる時、子どもと接する事ができれば、万事うまくいきます。真の安全さはアッラーが守ってくださると確信するときにうまれます。ちょっとしんどいなあとかんじるようなできごとにたちむかわなければならないときは、「ラーイラーハ イッラッラー」ととなえながら、そのことに立ちあってみましょう。「ラーイラーハ イッラッラー」ととなえている時、アッラーは私達の心から恐怖心、不安を完全に取り除いてくださいます。
アッラーが私達を守ってくださると感じられる状態で子どもたちに接していると、はじめのうち子どもたちは母親が守ってくれていると感じますが、しばらくすると母を守ってくださっているのは「ラーイラーハ イッラッラー」である事に気づきます。何度かこのような感覚を体験する事で、真に守ってくださるお方がアッラーであられることを子どもたちは見出していきます。さあ試してみましょう。「ラーイラーハ イッラッラー」と唱えながら子どもたちに接してみてください。
今回は、子どもとの接し方には3つのポイントがあることをお伝えいたしました。まとめますと、アッラーを想うこと、私達はアッラーに見守られ、アッラーが私達をお守りくださっているとかんじながら子どもに接すること。となります。この中に、実は、子どもたちにとってよりよい環境が整えられるヒントが隠されています。みなさんは、気づかれましたでしょうか?子どもにとってよい環境とはどういうものでしょうか?私達の場合は、「安全な場所で、安心して、アッラーを讃えることができる環境」が子どもたちにとって、よい環境と考えられるでしょう。この環境を整える事はイスラーム文化がまだ芽を出したばかりの日本でもかんたんにできますし、私のような無学な者でも簡単に作れる子どものイスラーム的環境です。そうではありませんか?
宝物さがし(実践例)
さて、今までは具体的ではない心構えについてお話してきました。なんとなくわかっていただけたら、次にこのような心持ちで具体的にみなさんで実践してみましょう。ここでは3歳くらいから参加できる「宝ものさがし」を紹介いたします。「宝ものさがし」は「かって(天地創造以前)わしは隠れた宝物であった。わしは知られたいと思った」(ハディース)(ルーミー語録P140&P406)を読んでいる時、おもいついたものです。目的は アッラーのおよろこびのためです。
やり方は1日15分ぐらい(子どもの集中できる時間の限度はだいたい15分です)子どもたちと一緒にお話をする形で行ないます。内容は;
1、今日の出来事を子どもたちにきく。
2、その中からアッラーの御名や特質が顕現された事例を選ぶ。
3、現実に日常生活の中で起きた出来事をアッラーの御名と結びつけてみる。
4、結びつけた道筋を、わかりやすくあきらかにして子どもにはなしてみる。
5、4を例にして、子どもたちにもアッラーの御名とむすびつく他の事例を挙げてもらい、それがどの御名や特性に結びつくかをいっしょに考えて、話し合う。
宝ものさがしの準備としては、お母様方は前もってアッラーの御名の意味を確認しておきましょう。御自分でも日常生活の中でアッラーの御名を見出す訓練をいたしましょう。ではここで例としてちょっとやってみましょう。こんな感じです。
前に上げたその1、その2、その3を読んでどんなアッラーの御名や特質を思いおこされたでしょうか?私の場合は、賞讃される(アル.ハミード)、信仰を守る(アル.ムウミン)や
平安(アッサラーム)と言う御名を発見できます。また維持者という御名も頭に浮かんできます。
その3の「守る」ということでは、リサレイ.ヌールの中で読んでいた文を思い出します。
「・・・基本的で最も重要な慈しむということ、一番大切な基本である情け深く、慈悲深くあることなどを、私は母の慈しみのある動作や態度、そして母の精神的な教えから確かに学びました。さて、この真の専心さと真の犠牲心を持つ母親達が、慈しむ心を役にたたないことに使い、無垢な子供がダイヤモンドの宝のような値打ちのある来世を考えずに、つかのまの滅びゆく瓶ほどの値打ちしかない現世にその子の穢れの無い顔を向かせるときがあります。
このように子供を愛することは、その慈しみの心を悪用することとなります。そうです、女性達の慈しみの心に基づくこの献身さとは何も見返りを求めず、どんな報奨も望まず、自己の利益を考えず、みせかけではなく、命をも惜しまないものであります。ほんの小さな見本としてですが、慈しみの心の持つ小さな雌鳥が雛鳥を救うためにライオンにも反撃し、命を犠牲にすることでも(献身さを)明らかにできるでしょう。・・・」
この母鳥の「子を守る」と言うという強さの行き先に、「慈しまれることなき者達を慈しむお方」
というアッラーの特質を私は見出します。このように、アッラーへのおもいを自分なりにひろげ、アッラーの徴を見出してみます。皆さんの思い出された御名や特性はどのようなものがありましたか?
さあ、準備ができたらいよいよ本番です。子どもたちと一緒に1から5の順で、アッラーの御名について話し合いながら、学びます。どうでしたか?宝物探しはたのしいものです。ぜひお子さんとご一緒にお楽しみください。
さて、この実践例では、さらにお母さんが子どもに伝えるべきことがらが3つ含まれています。一つ目は、アッラーの御名や特質(属性)についての知識そのもの、2つ目は目的と続ける理由、3つ目は、自ら学び続ける持続性のある学習者コミュニティー(sustainable
community of learners) の大切さです。
それらを確認しておきます。一つ目、本やインターネットを活用して学びましょう。2つ目の宝物探しの目的はアッラーのためです。理由は次のハディースを実現するためです。実現しようとするハディースは、「アッラーの御使い(彼の上に平安あれ)が、「アッラーの一番お好みになる行ないは何ですか?」と聞かれたことがあります。御使い(彼の上に平安あれ)はこうお答えになりました。『長続きする事です、たとえ些細な事でも。』・・・」です。3つ目は、実践していく中で、自ら学び続ける持続性のある学習者コミュニティーの小さなモデルを、自分たちにもできることを、子どもたちに示しましょう。
又、子どもたちと一緒にモデルを作り上げる中で、アッラーを知る楽しさとハディースを実現することの大切さを伝えましょう。今月の安らぎのテーマは「共同体」ですが、3つ目の事柄には、簡単に実践できる共同体の姿を見る事ができると思います。「学び続ける共同体」の基礎をぜひご家庭でも話し合ってみてください。ご家庭で学ばれるテーマは「アッラーの御名と特性」ではなくても、もちろんよろしいです。ご家庭ごとに、ご家庭にあったテーマを選び、教材を探し、子どもたちと楽しく、継続的に学びあいましょう。
おわりに、「すべてを養育し給うお方よ」を考えてみましょう。みなさん子育ちは何方がなさっているかもうお分かりになった事と思います。そうですね。子育てをなさるお方はアッラーであられ、私達ではありません。子育ちをするのはこどもたちであり、私達ではありません。私達はアッラーに育てられ、親育ち(親が育つ)をしています。ですから、子どもたちに何か支援したいと思うなら、はじめに私達が私達の課題を地道にクリアーしていかなければなりません。
子どもたちとの関わり方で悩んだ時は、子どもたちを変えようとするのではなく、自分自身を見つめ、自分自身の課題を探し、自分自身を鍛えなおすことです。それ以外、解決の道はありません。子どもたちの中に見いだす困難な問題は、実は私達自身の中にある問題のなのですから、一番早い問題の解決方法をのぞむなら、遠回りのように見えても、まず、私達自身の中にある問題、課題を明確化し、それを解く事をお薦めいたします。私達が課題をクリアーしたとき、それに関する子どもたちの問題は自然になくなっていて、問題と思えた事は実はアッラーからの恵みであった事に気づきます。
私達を見守り、守り、養育したまうアッラーに讃えあれ。

